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心弾む、野山のスキーの楽しさをお伝えします

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日々是口実

2012-05-06

めぐる冬

meguru_fuyu.jpg新雪・雪煙を巻きあげてまた雪の季節がやって来た。

  11月の祝日(勤労感謝の日)を挟んだ週末が毎年、立山・室堂の小屋閉めである。そして11月いっ ぱいで立山駅からのバス便は無くなり、来春まで長く静かな季節を迎えることになる。

  一年に一度、立山だけで会う人との再会も楽しみに、例年この時期は来るシーズンの足慣らしを 兼ねて入山している。みくりが池温泉は室堂ターミナルから近いせいもあってか、宿泊客の多くは 中高年のアマチュアの写真家であり、ずいぶんと時代が変わってきた感がある。室堂中心に歩いて いたのでは中々良いロケーションは探せないのではと思うが余計なお世話か。

  この時期は雪のアルプスを間近に見ることができる最後のチャンスとあってターミナルの周辺は 外国からの観光客も含め大いに賑わいを見せていた。
   昨年は30cm程の新雪があり、気持ちよい滑降を楽しんだが、今年は積雪量も少なく硬いバーンは 雨が流れたため無数の襞が走り快適な滑降は望めそうも無い。しかし、今回我々はスキーを目的と せずにスキーツアー中に起こるかもしれないアクシデントを想定してソリによる搬出とザイルワー クを中心に訓練を行なう計画で入山していたので雪さえあれば目的は達成される。

  道具や素材の著しい発達があって誰もが比較的簡単に雪山に入ることができるようになり、多く の人が雪の山を楽しめるようになった。しかし雪山での危険、リスクが下がったわけではない。歩 けば1時間かかる所も車で移動すればたったの5分、しかしその距離はけして縮まった訳ではないの だ。

  山に行く高校生がいなくなり、大学の山岳部が廃れ、山の技術、知識を伝えられない環境のまま 一方では若者を中心にバックカントリースキーヤーや山ボーダーと言われる人たちが増えている。 ボードのことはよく知らないが、日本においてはたかだか20年ほどの歴史しか無いテレマーク。ス キーメーカーは売ることだけに躍起となり、目先を変えて次々とニューモデルを送り出す。マスコ ミも派手なシーンばかりを追い求め扇動し、我々自身もその傾向を何も考えずに受け入れダウンヒ ルばかりを目指しまた滑降技術だけを云々し過ぎてはいなかっただろうか。

  山と言うステージで遊ばせてもらう以上、スキーを趣味とする者であっても雪山での登山技術、 リスク、対処を総合的に考え系統立てて学び、訓練する時が来ているといえるのではなかろうか。 山と言うステージの中で滑降はほんの僅かな一部分でしかないのである。

  以前、5月の双六で晴天に恵まれ最高に楽しい雲上の滑降を満喫したことがあるが、下山の日には 真冬並みの寒気が入りスキーをあわてて脱ぎアイゼンに履き替えて下山したことがあった。今、5月 の北アルプスに入るスキーヤーでアイゼンを装備しているものがどれほどいるのだろうか。そして 、今年の立山のように硬い雪面、午後3時を回っても高みを目指す人たちの何人がアイゼン、ピッケ ルを装備し、危険を感じていただろうか。
  幸いにもバックカントリースキーヤーの雪山での重大な事故をあまり聞いてはいないが、このま までは危ないと思うのも余計なお世話なのだろうか。

  バックカントリースキーは雪国の民家のバックサイド、裏山から始まる森や林そして山地。クロ スカントリースキーは雪に覆われた田や畑、フロントサイドで遊ぶと定義づけて普及活動をしてき た。元々山岳地帯にあっては山スキーがあり、年間を通した登山活動の一環として行なわれ豊富な 登山経験を持つものの世界であった。

  バックカントリースキーヤーがより高みを目指すのならばスキー技術だけではなく総合的な登山 の技術を深める努力をしていくべきであろう。バックカントリースキーという新たらしい世界を先 導してきた者の一人としてその責任を痛感せざるを得ない。

  日本のテレマークスキーは20年を迎える。一つの区切りの年として、これを機会に大いに振り返 り新たな出発の年にしたい。


2006.11

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